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映画「笑の大学」ネタバレあらすじ。ダンブルドア先生の脚色で舞台も!?

      2016/09/09

こちらの記事は三谷幸喜さんの脚本・監督で上演された舞台作品をもとにした映画「笑の大学」についてのレビューです。
ネタバレを含むあらすじ・感想とトリビアも少々あります。

映画データ

笑の大学

出典:Amazon.co.jp

タイトル:笑の大学
脚本:三谷幸喜
監督:星護
出演:
 役所広司
 稲垣吾郎
 高橋昌也

 小松政夫
 石井トミ子

※映画版、舞台版ともにDVDが販売されています。

あらすじ

日中戦争まっただ中、太平洋戦争へ突入しようとする昭和15年が、この映画の舞台です。
劇団「笑の大学」の座付作家である椿一(稲垣吾郎)は新作喜劇の脚本の検閲を受けている最中です。
検閲官の向坂(役所広司)は中国で反日思想の取り締まりをしていたという男です。
向坂は初対面の椿に対し、戦時中に演劇、しかも喜劇など不謹慎だ、こんなもの全て不許可にしてしまえばいい、というようなことを怒鳴ります。

椿登場までに、何人もの作家が検閲を受け、指定箇所の削除や改変を命じられているシーンがあり、大人しく指摘を受け入れるか、怒って帰るかしかできません。

端から不許可にするつもりで脚本に手を入れろと無理難題をふっかけてくる向坂に対し、椿はその指摘通りに手を入れていきます。

笑の大学

出典:東宝

ネタバレ

※映画内容のネタバレを含みます。これから観ようと思っている方はご注意下さい。

向坂は、冗談もダジャレも言ったことがないと言います。
人を笑わせることに興味もない、人生の中で心から笑ったこともない、人を笑わせることがそんなに大事なことか、と椿に問いかけます。
そして、稽古期間の都合もあるし早く検閲を通してほしい、という椿の気持ちを焦らすように、今日ここが直れば次はここ、翌日こっちを直せば更に難癖をつけるという具合。

椿は椿で、浅草劇場街で培った笑いの理論を解説したり、実際に演じて見せたり、喜劇の面白さを伝え、直されれば直されるほど、より面白いものを作ろうとします。
検閲官といえば当時は、犯行すれば思想犯として投獄される可能性もある怖い存在
それなのに椿は、「向坂さんのおかげでますます面白くなりました」と毎日取調室に通ってはメゲずに脚本を書き直し続けます。

毎日椿の脚本直しに付き合う向坂は、知らない内に自分の意見を言うようになってきます。
ここをこうした方が自然だろう、とか、こっちより前の方が良かった、とか…。

しまいには椿が脚本と演出をつとめる劇団「笑の大学」へこっそり観に行き、読み合わせや立ち稽古のようなことまでするようになります。
そうするうちに向坂は、検閲官の自分と向き合い脚本を直し続ける椿が、仲間の劇団員の反感をかって殴られたことも知ります。

笑の大学

出典:東宝

7日間かけて、検閲官と脚本家が練り上げた喜劇。
向坂はある種の敬意をもって椿に上演許可を言い渡します。
どうしてそこまでして、脚本を直し続けたのかと疑問をもつ向坂に椿は、あなたになら分かってもらえると思う、と語り始めます。

なぜ自由に演劇をしてはいけないのか、なぜ検閲を受けなければならないのか、なぜ喜劇を上演してはいけないのか。

ある脚本家は涙をのんで自分の大切な脚本を書きかえます。
ある劇団は検閲官の指示に従わず取り潰されます。

椿は、自分なりの闘い方を模索した、と向坂に打ち明けます。
それは、どんな無理難題を言われても、必ず面白いものを作ること、それが、自分の権力との闘い方だと思った、と。

喜劇のよき理解者の表情だった向坂の顔がみるみる検察官の顔に変わります。
そんな話は聞きたくなかった!
権力との闘い、それは反逆の罪であり、国家権力の手先である自分がそれを見逃すことは出来ないと向坂は冷たく言い放ちます。

上演を許可したばかりの、目の前の台本に対し「このままでは上演できない」と言い、脚本から笑いの要素を全て削除しろと言います。
一瞬は絶望的な様子の椿でしたが、引き下がることはありませんでした。

笑の大学

出典:東宝

翌日、一睡もせず書き直したという脚本を読んだ向坂は驚きます。
最初から、笑うところばかりじゃないか、と。
心から笑ったことのない自分が、83回も笑った。笑うところを全て削れと言ったのに、こんな台本では上演不許可だ。
そう告げた向坂に対し、椿は柔らかく笑いながら、面白かったですか、とつぶやきます。

許可は出せないと言っているのだと念をおす向坂に、椿は懐から赤紙、召集令状を取り出します。
許可がおりても、自分はもう演出はできない。だから最後に、浅草で学んだ喜劇の全てを書いたと言うのでした。

召集令状を受け取ったその晩に、こんな面白いものを書いたのかと驚く向坂。

椿とのやり取りの間に、すっかり喜劇の面白さにハマっていた向坂。

これまでどんな無理難題を言っても、ユーモアで返してきた椿の神妙な顔を見て、向坂はたまらず「お国のために死ぬな」と叫びます。

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私的な指摘

豪華な脇役

舞台劇は取調室のみで、登場する俳優さんは2人だけという設定だったのですが、映画になるといろんな役の人が登場しています。
劇団の座長をつとめる青空寛太(小松政夫)、脚本の中だけの人だったはずのジュリオ(河野安郎)とロミエット(小橋めぐみ)、貫一(眞島秀和)とお宮(木村多江)などなど。

他にも八嶋智人さん、加藤あいさん、木梨憲武さんが登場していますが、「ウォーリーを探せ!」状態です(笑)
映画本編を見る機会がありましたら探してみてください。

真面目が面白い!

検察官を演じた仏頂面の役所広司さんですが、椿の脚本と喜劇の面白さにのめり込んでいきます。
ものすごく真面目な顔で、警官を演じて取調室を走り回ったり、棒読みでギャグを言ったりするもので、観ながら声出して笑ってしまいました

役者さんも脚本家さんも、面白いものを作ろうと、ものすごく真面目にやってるんですよね。
ものすごく真剣に面白いことを考えている姿が、見てるこちらにはおかしくて仕方ない。
おかしくて仕方ないんだけど、どこか優しくて切ない。
三谷さんの作品は、日常的にある笑いの場面を取り出してわかりやすく見せつつ、人間っていいなぁと思えるような、そんな作品だと思います。

笑の大学

出典:東宝

ちょっと裏話

この物語に登場する椿一にはモデルがいます。
有名な喜劇俳優・エノケンこと榎本健一の旗揚げ講演に脚本を提供した作家・菊谷栄さんです。

多数の話題作を産んだ劇作家・作詞家の菊田一夫と並ぶほど、その才能を評価されていた作家でしたが、34歳で軍に招集され、35歳の誕生日のわずか2週間前に中国で戦死されました。

もしも戦争がなく、彼が戦死することがなかったら、現代にも残る名作が多数生まれていたかもしれませんね…。

おまけ

この「笑の大学」は「The Last Laugh」のタイトルでイギリスでも公演されました。
イギリス版の台本は、三谷幸喜さんの脚本をリチャード・ハリスが脚色したものでした。

リチャード・ハリス??どこかで聞いたことがある名前ではありませんか?
なんとあの、ハリーポッターで初代ダンブルドア校長を演じた俳優さん!?
…と思ったら、全くの別人、劇作家のリチャード・ハリスさんでした(笑)

ステッピングアウト

出典:Yahoo映画

公演や映画化で日本でもよく知られている代表作は「The Last Laugh」「ステッピング・アウト」などです。
ステッピング・アウトはタップダンスをモチーフにしたヒューマンドラマで評価の高い作品です!

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最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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