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「ひともうらやむ」ネタバレあらすじ

      2016/09/09

もみじ

出典:写真素材足成

※直木賞受賞作「つまをめとらば」収録の、他の短編はこちらから

長倉克巳長倉庄平は、本条藩の中でも家柄の良い長倉家の跡継ぎです。
とはいっても克巳は本家、庄平は分家の分家と、身分は克巳のほうが上でした。
身分だけでなく克巳は容姿端麗、文武両道、全てを備えてかつ人柄もおっとりとしているという、言うことない男性なのです。

克巳は遠戚で同い年の庄平を親友と思っています。
対して庄平はそんな克巳を羨ましいと思うことはあっても、妬む気持ちなどありません。
庄平は自分も親も本家に世話になっていて、足を向けて寝られない立場です。
克巳から親しくされても、自分は分をわきまえなければ、というブレーキが常にかかっていました。

そんな間柄の2人ですが、ある秋の日に克巳が庄平に恋の相談をもちかけます。
相手は浅沼一斎という医者の娘・世津(せつ)。
一斎は当時まだ珍しかった西洋外科を学んだ優秀な医者で、他の藩からも引く手あまたでした。
しかし一斎は父の受けた恩顧に報いるため他の藩の誘いを蹴って本条藩の藩医となったのでした。

一斎は腕のいい西洋外科医で、世津は父を手伝う優しく美しい看護師役でした。
当時西洋医学の実践者はまだまだ少なく、中でも一斎はかなり優秀で有名でした。
本条藩へは一斎の父の恩を返すためということで来てくれただけで、一定期間勤めれば世津も一緒に他の藩へ行ってしまうことは分かっていました。

若者たちの間には、克巳ならば世津を嫁にできるという妙な期待が高まっていました。
本条藩で嫁にいけば、一斎が他藩へ行ってしまっても美しい世津には会うことができるというわけです。

祭り

出典:写真素材足成

世津をお祭りに誘ったという克巳は、「OKもらったんだけど不安なんだよ」という様子。庄平に「どう思う」と意見を求めますが、庄平だって答えようがありません(笑)

結果的にお祭りデートは成功して、克巳は世津を妻に迎えることになります。
同じ頃、庄平も結婚します。庄平の妻の康江は、世津とは比べようもない、ごく平凡な女性でした。

いろいろあってしばらく庄平と克巳は顔を合わせませんでした。
明けて新年。
挨拶回りで克巳に会おうと本家へ赴いた庄平ですが、克巳は留守だと言われます。
当然世津にも会えず、期待して行った若者たちはガッカリです。
新年の挨拶で皆が来るのは分かっていたはずなのにと、若者たちは不満を口にしますが、庄平は「本家の跡取りだぞ、ヘンなこと言うなよ」と克巳をかばいます。

春になった頃、克巳がひょっこり庄平を訪ねてきます、が、様子がおかしい。
庄平に、世津を見張って欲しいと言うのです。
父の影響で外国の文化に馴染んだ世津が、1年経たずに「(結婚生活に)飽きた」と言い出したのだと。

克巳の方は未練たらたらで、世津は不倫してるんだ、証拠つかんで2人とも殺してやる、みたいなこと言ってます。

これはダメだと思った庄平は、「くだらん!」と一喝。
紙と筆を持ってきて、今ここで世津への離縁状を書けと克巳に心を決めさせます。

離縁状を書いて落ち着いた様子の克巳は、後はもう大丈夫だといって、ついていこうとする庄平をとどめ一人で屋敷へ帰っていきます。

夕桜写真

出典:写真素材足成

庄平は気が気ではありません。
なんかやらかす気がする…胸騒ぎがとまらず、とうとう克巳の後を追って本家へ向かいます。
本家につかないうちに、警備の人たちが庄平に、すぐ寺に行けと言います。

行ってみると、世津が縁切りを求めて寺に入り、それを追って(本当は追っちゃだめ)克巳も寺に立てこもったと知らされます。

自分で決めるはずだったのに、せっかくの離縁状も無駄にされて、頭にきた克巳は、世津を追いかけて寺に、そして世津を殺めてしまいました。
藩主の菩提寺でもあったその寺、救済の場で人を殺めたとあってはさすがの克巳も免れません。

「どうするのか」と庄平に問われて、克巳は自害すると答えます。
もう助けようがないので、庄平は「首か腹か」と聞きます。
切腹は名誉刑という考えがあったので、克巳は「腹を切りたい」と言います。
寺を出てしまえば切腹はかないませんので、庄平はこの場で切れと言い、自分が首を落として絶命させる介錯人を買って出ます。

その後庄平は心身症のようになってお勤めが出来なくなってしまいます。
江戸にでも出ようか…と言う庄平に、妻の康江は二つ返事で受け入れ、以外にも抵抗なく江戸へ出ることになります。

もともと釣り道具作りの腕が名人級だった庄平の釣り針を康江がサクサクと売り込んで、たちまち収入も安定。
ここにきて康江の商才が発揮され、庄平の道具はどんどん有名になっていきます。
ところが…売り込み上手の康江は、人から頼られ、自分みがきにも力を入れるようになって、「人も羨む」妻になっていきます。

そんな康江を見て庄平は、世津に似てきた、と思うのでした。

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【感想】
あらすじには入れなかったのですが、世津の父・一斎が気の毒で…。
おそらく結婚前に、お前には務まらないからやめとけ、って言ったんじゃないかなと思うんですけど…一人娘を殺されて、でも武家の嫁に行ったからには文句も言えないしと。

庄平は、離縁状を持った克巳を一人で返したことをずっとずっと悔やんで、病気にまでなっちゃうのですが、世津の父上もこの先ずっと、あの時無理にでも反対しとけばよかった、って考えるんだろうなぁ…。

康江さんは武家の奥さんよりは江戸の町人のほうが似合ってたんですね。
江戸に出て来た康江さんの活躍は後半のほんの少しなんですけど、生き生きしてます(笑)
まあこうなっては、庄平さんは尻に敷かれているより仕方ないですね。

※直木賞受賞作「つまをめとらば」収録の、他の短編はこちらから

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最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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