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「つまをめとらば」ネタバレあらすじ

      2016/09/09

※直木賞受賞作「つまをめとらば」収録の、他の短編はこちらから

夕桜写真

出典:写真素材足成

武家屋敷で隠居している深掘省吾と、その幼なじみ山脇貞次郎を中心とした物語です。

3度の結婚と死・離別をした、現在独り者の深掘省吾は、妻の借金を返済すべく現在は戯作者(今で言う小説家)として生計を立てています。
一方幼なじみの山脇貞次郎は56になるその年まで妻はとらず、養子をとって隠居、今は算術を中心とした貸本屋をしています。

10年以上の時を経て再開した2人、語るともなしに近況を報告し合っていると、貞次郎が省吾の所有する貸家を貸して欲しいと言い出します。

自分の店から近いというだけでなく、初めて所帯を持つことを考えているという貞次郎に驚きつつ、省吾は昔の借りを返さなければと考えます。

借りとは、幼少の頃貞次郎をいじめたことと、貞次郎を省吾の家の元女中・佐世(さよ)と合わせたことです。

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佐世は「罪のない童女のような顔を、罪ではちきれそうな躰の上に乗せて」いるという、ちょっと現実離れした二次元的な女性でした。

当然、周囲の男どもは佐世に注目し、挙句に省吾の家では使用人と佐世との心中事件まで起き、佐世は無傷でしたが使用人は亡くなります。

江戸では心中はご法度ですが、武家の家内のことは当主が裁いてよいこととなっていたので、省吾は佐世を家から出すにとどめました。

その佐世が後に貞次郎と心中を図ったという噂が流れたことがありました。
貞次郎は佐世が女中をしていた当時に省吾宅へ出入りしていました。しかし女嫌いでやもめを通した貞次郎が本当に心中など図ったのか?
貞次郎本人に尋ねるより確かめようがありません。

省吾はそれを確認することができないまま、貞次郎は所帯を持つという女をいつまでも連れて来ないまま。
男2人の気楽で平穏な暮らしが続きました。

茶屋

出典:写真素材足成

ある時貞次郎が省吾に、男同士も気楽で良いが、衆道(武家の男性同性愛者)のように男を好きにはなれない、と言います。
そして、連れ添おうと思っている女を見てほしいと省吾に頼みます。

省吾の見た女は「ふつう」でした。
佐世のような鮮烈な女ではありません。

省吾の反応を見て、貞次郎は「分かった」と言い、その後も男2人の平穏がしばらく続く中、味噌売りの女が省吾の家にやってきます。

それは誰あろう佐世でした。
すっかり太って、立派な農家のおっかちゃんになって、明るく味噌を売りに来たのです。
遠慮とか罪の意識とか、全くありません。
そして図々しくも貞次郎にも味噌を売らせてくれと家内へ上がり込んできます。

佐世が帰った後、男2人は佐世をさして「たいしたものだ」「どうやってもかなわん」と言い、貞次郎は「張り合っても歯が立たん。(略)やはり、女に死に水をとってもらう」と言って居心地の良い家を出ていきます。

【感想】
省吾さん、女運なさすぎです。
そして貞次郎さん、そこまで用心深く生きてきたなら、もうそのままでいいんでは?って思うのですけど、これこそ往生際が悪い…(笑)
男性の繊細な気持ちの動きがちょっと滑稽で、何度もくすくす笑ってしまいました。
これは私が女だからでしょうか…!?

※直木賞受賞作「つまをめとらば」収録の、他の短編はこちらから

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最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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