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新海誠監督「言の葉の庭」のネタバレ感想。「なるかみの~」短歌の意味は?

   

「君の名は。」を観たらこれも観るべき!と薦められた、新海誠監督作品「言の葉の庭」を観ました。
とても素敵な作品でした。

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映画データ

 

タイトル:言の葉の庭(ことのはのにわ)
原作・脚本・監督:新海誠
声の出演:
入野自由(タカオ=秋月孝雄)
花澤香菜(ユキノ=雪野由香里)
前田剛(タカオの兄)
平野文(タカオの母)
主題歌:Rain(秦基博)

 

あらすじ

靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。

ある日、タカオは、ひとり缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。

ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心を通わせていく。

居場所を見失ってしまったというユキノに、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。

六月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた。

「言の葉の庭」公式サイトより

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ネタバレ

※「言の葉の庭」映画本編のネタバレです。ご注意ください。

主人公の秋月孝雄は高校1年生。
靴職人になる夢を抱いていた孝雄は、高校入学から2ヶ月にして、学校で過ごすことを幼稚なことと感じていた。
雨の日の一時間目はサボりと決めて、公園の東屋でスケッチをしながら過ごす習慣ができていた。

ある雨の朝、いつものように公園に行くと一人の女性が缶ビールを飲んでいた。
社会人らしいその女性・雪野は孝雄の制服を見て「会ったことがあるかもしれない」とほのめかし、一つの和歌を残して立ち去る。

なるかみの すこしとよみて さしくもり あめもふらんか きみをとどめん

実は雪野は孝雄の学校の国語教師だった。

そうとは知らない孝雄は雪野と逢瀬を重ね、次第に心を開き、大人には語らなかった靴職人になるという夢を打ち明ける。
雪野もまたそんな孝雄に応えて、女性ものの靴を作りたいという孝雄に素足をあずけ、製作に協力する。

梅雨が明け晴れの日が続き、孝雄は靴職人の専門学校に通うため、また、雪野の靴を作る材料を買うためにひたすらバイトの日々。
二人は会う機会がないまま夏が過ぎていく。

一方で雪野は学校を辞める決心を固めていた。

言の葉の庭

出典:CoMix Wave Films

9月、夏休みが明けて登校した孝雄は、退職手続きに来ていた雪野を見て呆然とする。
雪野は、ある男子生徒から恋心を打ち明けられ、それをきっかけに女子生徒から激しい嫌がらせを受けるようになった。
心を病み通勤できなくなった雪野は、毎朝着替えて電車に乗るものの学校までたどり着けず、公園で過ごしていたのだった。

次の雨の日、孝雄は雪野に、出会った日に聞いた和歌の返歌を暗誦する。

なるかみの すこしとよみて ふらずとも われはとまらん いもしとどめば

ふたつの和歌は教科書に載っていたもので、雪野はその和歌で自分の正体を孝雄に知らせたつもりだった。
靴のことしか頭になかった孝雄は、それに気づくことなく雪野との時間を過ごしていたのだった。

激しい雨の中、びしょ濡れになった二人は雪野のマンションに行き、一緒に食事を作りお茶を飲む。
心身症から味覚障害になっていた雪野は、孝雄の作る料理ならば味が分かるようになっていた。

互いにこの時間を「いままで生きてきて、今が一番幸せかもしれない」と感じていた二人。

しかし孝雄がその気持ちを雪野に伝えると、雪野は教師の顔に戻り、孝雄に「先生は、学校をやめて四国の実家に帰るの」と告げる。
靴がなくても一人で歩けるようになる練習をしていたと言う雪野。

孝雄は雨の中部屋を出て行く。
黙って孝雄を送り出した雪野だったが、雨の中裸足で孝雄を追う。

言の葉の庭

出典:CoMix Wave Films

マンションの階段で雨を見ていた孝雄に追いついた雪野。
孝雄は、本心を言わず自分を隠し続けていた雪野に対し想いをぶつけるが、その言葉で雪野はようやく苦しかった自分の気持ちを吐き出すことができた。

実家へ戻り教師の仕事を再会した雪野は孝雄に手紙を送り、孝雄は雪野の靴を完成させる。
大人の世界は未知の世界だと感じていた孝雄は、その世界へ踏み出し、いつか雪野に会いに行こうと思う。

和歌の意味

映画に登場する和歌はいずれも柿本人麻呂歌集から。

最初に雪野が言った歌がこちらです。

鳴る神の 少し響みて さし曇り 雨も降らんか 君を留めん

「鳴る神」は雷、「響み(とよみ)」は大きな声や音が鳴り響く様子。

歌の意味は、
雷が鳴り響いて雲が広がってきて、雨が降ってくれたら、あなたをここに留められるのに
となります。

これに対する返歌が、孝雄の言った歌はこちら。

雷る神の 少し響みて 降らずとも 吾は留らん 妹し留めば

「妹(いも)」は妻や恋人など、男性が女性を親しみをこめて呼ぶ言葉。

歌の意味は、
雷が鳴り響いて雨が降らなくても、あなたが引き止めるなら私はここにいます
となります。

これらの歌は宮廷の宴席で詠まれた恋の歌と言われているそうです。
上手に和歌を読むことは、話術やファッションのセンスと同様、社交界での重要な才能だったようです。

最初の歌も切なくて素敵ですが、これに返した歌の率直で優しげな様子にキュンキュンしますね。

見どころ

美しい風景

言の葉の庭

出典:CoMix Wave Films

写真と見間違うほどの美しい風景描写は新海誠監督の作品の特徴でもあります。
「言の葉の庭」は雨の描写が多いのですが、水たまり、濡れた道、雨に煙る風景、雨の日が好きな人には癒しの映像だと思います。

象徴的な描写

言の葉の庭

出典:CoMix Wave Films

言の葉の庭

出典:CoMix Wave Films

雨の描写だけでも、柔らかく降るのか、水玉が跳ねるのか、激しく降るのか、登場人物の状況や感情に合わせて描き分けられていたそうで、丁寧な仕事ぶりに驚きます。

新海誠監督は、映画を観た人が共感してくれるために、女性に「ヘコむ瞬間ってどんなとき?」というインタビューを重ねていたそうで、雪野役の声優・花澤香菜さんは、雪野がファンデーションを落として粉々に割れてしまう描写を目にしたとき、涙が止まらなくなったそうです。

孝雄が雪野の素足に触れるシーンで、セキレイが囀る場面が挿入されていました。
セキレイは古事記でイザナギとイザナミに交わり方を教えた鳥とされ、恋知り鳥、恋教え鳥などと呼ばれています。

女性が男性に素足を差し出すなんて、ちょっとセクシーな場面だなあと思いましたが、セキレイとセットで考えると…いや、やっぱりそういう意味があったんだよね?と思ってしまいました。

音楽が素敵

挿入されている音楽がどれも素敵なのですが、孝雄と雪野が互いに本音をぶつけ合い、抱き合うシーンで流れる秦基博さんの「Rain」がとても印象的でした。

「Rain」は1988年に、当時シンガーソングライター(現在はジャズミュージシャン)の大江千里(おおえ・せんり)さんが作曲し、槇原敬之さんに提供した楽曲です。

新海誠監督は、知人が聴いていたこの曲を聴かせてもらって以来ずっと好きな曲だったと言い、この作品は上記で紹介した和歌と「Rain」からイメージが組み合わさり膨らんでいったようです。

秦基博さんの歌う「Rain」は、曲だけ聴いてもとても素敵なのですが、公式Youtubeを確認したところMVはないようでした…。
ぜひ映画のシーンと重ねて聴いて欲しい曲です。

おまけ

雪野が孝雄に贈った靴の本、書名が少し違うのですが表紙デザインがそっくりなのでこれかなーと。

Amazonで販売中。お値段は¥2,760です。

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最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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