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2016年本屋大賞受賞作!「羊と鋼の森」あらすじネタバレ、読み方と感想。文庫いつ

      2016/10/07

4/12(火)に、2016年の本屋大賞が発表されました。
受賞作は宮下奈都さんの「羊と鋼の森(ひつじとはがねのもり)」です。
早速読んでみました。
あらすじ紹介と、結末までのネタバレをしています。
※未読の方はご注意ください。

作者紹介

宮下奈都(みやした・なつ)
1967年生 福井県出身。
上智大学文学部哲学科卒。

これまでの作品では、「静かな雨」が文學界新人賞で佳作を受賞。
「誰かが足りない」が本屋大賞にノミネートされています。
今作「羊と鋼の森」は第154回直木賞候補作でもありました。

作品紹介

あらすじ

「羊と鋼の森(ひつじとはがねのもり)」は、外村という主人公の青年がピアノ調律師の道を見出し、成長していく様子を追いかけた物語です。
短い文を重ねたり、名詞を重ねたりする文体が、詩のようなリズム感を出しています。

ピアノがテーマということもあってか、軽やかな擬音も度々使われています。
静かなひたひたとした空気感で進む物語ですが、細やかで温かい感性が感じられる作品です。

読み方

宮下奈都さんの作品は初めて読みましたが、難しい言葉は使われておらず、文体にはリズムがあって読みやすいと感じました。

比喩がよく出てきますが、作品の中で主人公なりの解釈をしてくれています。
詩を読むように、風景を想像しながら読むと作品の世界にどっぷりと浸れます。

ぐるぐると螺旋階段を少しずつ上るように展開するので、スピーディでテンポの良い展開が好きな方には、もどかしいと感じるかもしれません。

文庫化はいつ?

現在販売されているハードカバー版は1,500円(税別)です。
場所も取るし文庫になるまで待とうかなと思っている方もいるかもしれません。

近年、ハードカバーから文庫になるまでの期間は短くなっていると言われていて、早ければ1年半程度で文庫化する作品もあります。

「羊と鋼の森」は2015年9月に初版が出版されました。

早ければ2017年始め頃でもよさそうですが、ハードカバーでも販売部数があるうちは、なかなか文庫化されないということもあります。
なので、2017年末くらいになるかもしれませんね。

※以下は本文の結末までネタバレしています。これから読む方はご注意ください。

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ネタバレ

主人公の外村は北海道の寒村の出身で、高校時代下宿していた。
試験期間中、たまたま学校に残っていた外村は、体育館のピアノを調律しに来た江藤楽器の板取に出会う。

板取の調律したピアノの音を聞いて、ふるさとの森の風景を浮かべ、生まれて初めて美しいものに気付いたと感じた外村。
高校を卒業後、本州の調律師専門学校で二年間学んだ後、江藤楽器に就職した。

ピアノ

出典:写真AC

調律師見習いとして、先輩調律師の仕事現場へ同行した外村は、初めて訪れた客先で、佐倉和音・由仁姉妹に出会い、調律し終えたピアノでの演奏を聴いた。

先輩の柳は由仁の華やかで楽しげなピアノを褒めたが、外村は和音のピアノを美しいと感じていた

その後も、まるで森の中を彷徨うような修行の日々が続く。

外村は幼い頃に、森の中で「ここに居てよいのだ」と感じた感覚を思い出し、先輩調律師の言葉や見聞きしたこと、感じたこと一つ一つを書き留める。

秋の森

出典:写真AC

やがて一人で調律に出かけるようになっても、その森をどう歩けばいいのか、目的地はどこにあるのかと迷う外村。
そんな外村の様子に、江藤楽器の三人の調律師それぞれの関わり方、調律の特徴や物語が少しずつ明かされる。

弟や家族との関わり、わだかまっていたことも、祖母の死をきっかけに解け、音、美しさ、世界へとつながる外村の変化が描かれていく。

オンコ(イチイ)

出典:農研機構

あるとき、由仁がピアノを弾けなくなる。
作中に細かい描写はないものの、精神的な問題であろうことが想像される。
弾けなくなったのは妹なのに、それまで毎日ピアノに触れていた姉までピアノを弾けなくなってしまう。

胸を痛めながら何もできない自分をふがいなく思う外村。
元ピアニストだった先輩調律師の言葉に触れ、無口な青年の不器用なピアノと出会い、外村は自分の目指す調律の輪郭をつかみ始める。

やがて和音が再びピアノを弾き始めた。
それまで妹の華やかなピアノに隠れていた姉の才能が花開き、江藤楽器の誰もがその成長に驚いた。

和音のピアノを改めて美しいと感じた外村は、初めて特定の人―和音の音をつくりたいと思うようになる。

ピアノ

出典:写真AC

先輩調律師の柳が結婚することになった。
柳は披露パーティーのピアノを和音に頼み、調律を外村に頼みたいと言う。

個人宅のピアノしか調律の経験がなかった外村は、躊躇しようとしたが、それまでになかった感情が湧き上がるのを感じ、やりたいと返事をする。

初めての広い会場での調律は失敗もあったが、披露パーティーでの和音の演奏は素晴らしく、同席していた先輩調律師たちは二人の成長を温かく祝福する。

ずっとそこで迷っているように感じていた羊と鋼の森だったが、外村はピアノの中に全てがあったことに気付く。

登場人物

外村(とむら)

高校二年の時、板取の調律したピアノの音に魅せられて調律師になる。
北海道の寒村に生まれ育った。
何事に対しても感情を激しく動かすことがあまりなかったが、ピアノに関してだけはこだわりを持つようになる。

板取(いたどり)

江藤楽器の調律師。
主人公が調律師になるきっかけになった。
性格は穏やかだが外村を甘やかすことはない。
世界的に有名なピアニストからコンサートチューナーを依頼されるほどのベテラン調律師。

秋野(あきの)

江藤楽器の調律師。元ピアニスト。
非常に耳が良く調律の腕も良いが、やや皮肉屋。
音に対する独自の美学と優しさを持っている。

柳(やなぎ)

江藤楽器の調律師。
主人公が一人で調律に出られるようになるまで、主に同行させてもらっていた。
繊細で気分屋なところがあるが、外村を何かと気にかける親切な先輩。
客先では客と会話でコミュニケーションをとって、希望の音を作ることを心がけている。

佐倉和音・由仁(さくら・かずね、ゆに)

とても仲良の良い双子の高校生姉妹。
主人公が初めて同行した客先の娘。
幼い頃から江藤楽器に調律を依頼している。
和音はやや控えめ、由仁は明るく活発な印象。

感想

羊と鋼の森、とは、ピアノのことです。
羊はピアノの中で弦を叩いているハンマーのフェルトに使われている羊毛。
鋼はピアノ線です。

これらが調律師の手で丁寧に整えられた結果、美しい音が取り出され、その音に森を思い描いた主人公は調律師になることを決めます。

表現の1つ1つが幻想的で美しく、読み始めると作品の世界に包まれる感覚で、一気に読んでしまいました。

特に音や感情など、目に見えないものを風景として表現した言葉が、静かで深みがあって素晴らしいと感じました。

あらすじだけではもったいない、ぜひ宮下奈都さんの言葉の美しさに浸ってほしい作品です。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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