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僕だけがいない街スピンオフ「AnotherRecord」ネタバレ。八代の過去と動機は?

      2016/09/09

電子小説誌「文芸カドカワ」11月号より連載されていた、「僕だけがいない街」初のスピンオフ小説が出版されました。
著者の一肇さんと、作品内容についてご紹介します。
※「僕だけがいない街 Another Record」と原作「僕だけがいない街」のネタバレを含みます。

著者・一肇さんについて

一肇(にのまえ・はじめ)さんは、ゲームソフトやアニメを制作している「ニトロプラス」に所属するライターで、同社のアニメ「魔法少女☆まどかマギカ」のノベライズも手がけています。

今回のスピンオフ小説制作については、原作者の三部けいさんから「好きなようにやってください」と言われるほど信頼されています。

小説を書くときは基本、一人称で書くという一さんですが、Another Recordでも、それぞれの人物の視点に立って考察や感情を描き出しています。

原作「僕だけがいない街」の大ファンというだけあって、真犯人にも思い入れが深く、主人公の悟や賢也と同様、犯人に憧れすら抱くほど。

一さんご本人は「個人的な妄想による二次小説」とお話されているようですが、「僕街」ファンも、そうでない方も楽しめる作品になっています。

あらすじ

僕だけがいない街 Another Record

出典:Amazon.co.jp

藤沼悟の壮絶な追跡の果てに、連続児童誘拐殺人事件の真犯人は、ついに逮捕された。

犯人は一審で死刑判決を下されるが、発見された犯人の「手記」中の”スパイス”なる謎の存在への呼びかけから、精神鑑定によって一転、無罪となる。

検察は即日上告するが、犯人はなぜか無罪を勝ち取った弁護士を罷免。
国選弁護人として指名されたのは若き弁護士・小林賢也だった。

悟の親友でもあり、自らも事件に関わっていた賢也は戸惑いながらも手記を通じて犯人の内面を探り、自身の正義をも突き詰めていこうとする。

ついに訪れる最高裁での審理、そこで明かされる犯人の真意とは…。

※Another Record背表紙より

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ネタバレ

八代学の生い立ち

裕福な家庭に生まれ、優しい両親のもとで育ちます。
ごく普通に見える家族の中で、2つ年上の兄は家族の誰にも似ず粗暴な性格でした。

両親が、兄の矯正を放棄して弟の学ばかりを可愛がったため、兄はますます歪んでしまいます。

兄から日常的に暴力を受けていた学は、状況をみて立ち回る器用さや、人の心にうまく入り込む術を身に付けるようになります。

暴力で抑圧された感情を、困っている友達やいじめられている子を助けることで昇華させることがありました。

最初の殺人

少女

出典:写真AC

思春期になった兄は近所の幼い少女を物置に連れ込んでは性的暴行を加えるようになり、学は少女を誘う、襲われた少女をなだめるといった役をやらされるようになります。

兄相手に断ることができなかったことと、少女を相手にしている間は兄からの暴力を受けずに済むということもあり、学は言われるままにしていました。

たまたま学が見張りをサボった時に、兄が、騒ぎ出した少女の口を塞いで殺してしまいます。
学は自分に罪をなすりつけようとする兄を、自殺に見せかけて殺害することに成功。
誰からも怪しまれず、疑われもしなかったことで、学は「この殺人は正しかった」と感じます。

しかしこの事件をきっかけに両親は離婚、学の姓は御子原から八代に変わります。

「使命」と「蜘蛛の糸」

フェンス

出典:写真AC

八代手記の中で「この世は地獄であり、それを悟りつつまだ自ら死ぬこともできない人間にだけ現れる「死」という名の希望」と書かれています。

八代は、まだ具体的にターゲットや方法をまとめていない学生の頃、たまたまデパートの屋上で少女を見つけます。

まだ小学生だった小見苗沙羅というその少女は、生きる意味を失って、屋上のフェンスの外にいながら、自ら死ぬことすら面倒くさいと言っていました。

少女の背中を押し(文字通り)自殺の手伝いをした際、少女から「ありがとう」と言われたことから、

それを見ることができる八代にしかできない「解放」つまり殺人こそが自分の使命だと思うようになります。

「スパイス」

八代が”スパイス”と呼ぶ存在については、作中でも少しずつ意味が変わってきているように思います。

最初は八代に「使命」を知らしめたもの、八代はそう呼びませんが「神」のような存在として書かれています。

それが次第に、八代を見つめるものになり、やがて八代の「使命」を止めるものになっていきます。

最終的には賢也が「スパイスとは真の勇気」だと紐解いてくれるのですが、八代自身もそうと気付くまで自分が何を”スパイス”と呼んでいるのか不確かだったようです。

賢也について

学校

出典:写真素材足成

賢也の父は、冤罪を暴くために奔走した弁護士でした。
無実の罪で捕まった人を解放するのは並大抵のことではありませんが、父は「吹き荒れる残酷な嵐の中、言葉にならぬ小さな声を真摯に拾い上げること」と言い、闘い続けていました。

賢也は最初、弁護士の仕事は被疑者の利益を守ることであり、それは無罪にすることとイコールと考えていたところがあります。

それが、八代の弁護をすることで変わりました。
賢也がしたことは、無罪を勝ち取ることではなく、八代が伝えたかったこと、その言葉を守ることでした。

感想

「僕街」原作では悟視点で作品を読んでいたのですが、「Another Record」を読むと、これは最初から八代の物語だったのではないかと思いました。
原作を深く掘り下げている作品だと思います。

信念をもって殺人を続けていた八代に対して、自分の周囲の人には絶対に手を出させないという強い意思で繰り返し立ち向かった悟の行動にあらためて凄さを感じました。

読者レビューを読むと、八代の殺人の動機や細かい点で原作とは異なる部分があると感じる方もいるようですが、ネタバレ考察としてではなく、別視点からの物語として読むとかなり良作との評価を得ているようです。

連続殺人犯と弁護士という二人の視点の交錯も上手いので、原作を知ってる人も知らない人も興味深く読める作品だと思います。

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最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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